8歳のトランスジェンダーの少年を主人公に。スペインの注目監督「この問題は蓋をすべきことではない」
本当の家族のような雰囲気を目指して作った
―舞台となるのは監督の出身地でもあるバスク地方ですが、独自の言語や文化を持っている様子も描かれており、非常に興味深かったです。
監督バスク語はスペイン語と違って、名詞や形容詞などにおいて男性と女性で区別されることがほとんどない言語なんですよね。劇中では、自由でリラックスした雰囲気のなかで交わされる会話のときにバスク語を使用し、少し堅い空気感のなかではスペイン語を使うなどして言語を混ぜています。バスクの社会というのは、家族や社会の絆が強いので、そういった部分が教育や政治にも反映されているんだなと改めて感じました。
―そして、本作では約500人のなかからオーディションで選ばれた主演のソフィア・オテロちゃんの演技も素晴らしいの一言に尽きます。どのような演出をされたのでしょうか。
監督ソフィアに関しては、キャスティングの段階からこういう演技ができるということはわかっていました。なので、私が取り組んだのは、撮影に入る前までにキャストの間で親子や兄弟としての関係性にリアリティを持たせること。
ケンカも含めたさまざまな思い出作りをすることによって、本当の家族のような雰囲気を作れるようにしたいと考えました。