くらし情報『小島秀夫「“編集”とは僕にとってのタイムマシンであり、人生を物語ることでもある」』

小島秀夫「“編集”とは僕にとってのタイムマシンであり、人生を物語ることでもある」

とはいえ、ゲームはインタラクティブだ。見るもの、見せるもの全ては創り手側にはなく、プレイヤーの行動に依存する。一方で、映像は創り手の思惑通りにタイムラインを操作できる。何を見せて、何を見せないか?さらにはそのタイミングも。だから、たまにはタイムラインを自分で制御した旧来の映像作品で、観客を驚かせたいと、僕は編集機の前に座る。自分だけのペースで完結した作業が出来る事も大きい。チームを動かす仕様書もミーティングも不要だ。

僕が初めて編集機に触れたのは、中学生の頃。
当時は家庭用のビデオカメラもまだない。友人の父親が持っていた8mmスーパー8カメラを借りて、つまらない自主映画で戯れていたアナログの時代。編集映像が覗ける画面(フィルムエディター)も付いていない、ただのフィルムスプライサー(注3)とスプライシングテープ(注4)での切り貼りを行っていた。切りすぎるとフィルムがダメになる。うまく繋げないと映写機に引っかかる。デジタル世代では当たり前の「undo」(注5)が効かない。だから、細かな編集はできない。あの頃は正直、面白いとは思わなかった。


’90年代、ゲーム制作現場にもMacが導入されるようになった。

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