巨匠画家マティス、本邦初公開となる大作も! 晩年の「切り紙絵」に注目した展覧会
同様に注目してほしい作品が、マティスの集大成・南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂。この礼拝堂は壁面装飾がきわめてシンプルで、生命の木をモチーフにしたステンドグラスと、聖ドミニクスなどが描かれた3つの陶板壁画で構成されている。彼はこの礼拝堂の内装から典礼用の調度品、祭服に至るまで、ほとんどのデザインを自分で手掛けた。会場では、ステンドグラスや祭服など、ロザリオ礼拝堂にまつわる作品や資料を展示するほか、ステンドグラスの光の移り変わりを体感できるような、礼拝堂の実物大の体感型のインスタレーションも設置されている。
自然が大好きで、様々な花や観葉植物に囲まれた、まるで植物園のようなアトリエで制作を行っていたマティス。鳥も好きで、多い時には300羽も飼っていたこともあったとか。そんな環境が彼の創作の原点。自然のモチーフから生み出された作品は植物や動物を極限まで抽象化したフォルムと、そこからインスピレーションを得た極彩色が特徴。
純度を極めた色づかいは、現代のグラフィックアートに繋がる。だからこそ時代を経ても褪せない美しさがある。
「切り紙絵では色彩の中でデッサンすることができる」という言葉を残しているマティス。