“勤め人あるある”が満載!? 一介の社員が味わう悲喜こもごもを描く“勤め人小説”
SNSで社長の投稿が大炎上。社内の経営陣からは、問題となったワード〈スマイルコンプライアンス〉をポジティブに塗り替えてしまおうというプロジェクトが立ち上がる。白羽の矢が立ったのは、広告宣伝部の中堅社員・多治見勇吉。勇吉は「スマイルコンプライアンス準備室」の統括リーダーを拝命し、実体もわからないその言葉を〈スマコン行動規範〉として社内外に発表しなくてはいけなくなる。安藤祐介さんの『仕事のためには生きてない』は、一介の社員が味わう悲喜こもごもと、勇吉のモットーたる〈ロックな生き方〉との板挟みを描いた面白長編。
笑って泣けて明るい気持ちになる。“勤め人あるある”の応援歌小説。
「僕はいまの職場で落ち着くまで、20代で5回転職しました。
ホントにちっちゃい職場から大きい職場までいろいろと経験したので、その勤め人生活で溜めたあるあるを全部ぶつけてみるつもりで書きました。コンプライアンスに関しては、企業の危機管理に詳しい國廣正弁護士の本などを大いに参考にしました」
何も決まらない会議、ころころ変わる上司の意見に振り回されるタスク、否定ありきで突き返される書類の手直し等々、勇吉に降ってくるのは紛れもなくデヴィッド・グレーバーが言うところの「ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)」