小島秀夫「SNSは“推し”と“推し”が繋がることができる最強のツール」 自らの体験を明かす
僕はその“推し”の感想をSNSに投稿する。すると、その“ラブコール”は世界中を瞬時に駆け巡り、その日のうちに、ほぼ間違いなく、“推し”にダイレクトに届くのである。僕がフォローすれば、相手もフォローしてくれる。そうなると、DMで直接話が出来る。仲良くなり「今度、どこかで逢いましょう!」と約束する。いずれ直接、歓談することが出来てしまう。“推し”同士は、エージェントやマネージャーをすっ飛ばすので、話がはやい。そうやって“推し”も“推される”関係を築いた小説家、映画監督、アーティスト、ミュージシャン、俳優、クリエイターは数えきれない。
『DS』の日本語版音声に、津田健次郎さんへサム役のオファーをしたのも、まさにこういう経緯によるものだ。
10年くらい前のSNSでは、今ほどの即効性も確実性もなかった。しかし、「HIDEO KOJIMAというゲームクリエイターが、あなたの作品を推しているよ」と、僕のファンと相手のファンたちが間を取り持って、うまく繋いでくれた。僕と相手を“推す”人たちが協力し合い、“推し”同士を繋いでくれたのだ。色々と問題はあるSNSだが、“推し”を推しはかる人たちにとっては、“推し”と“推し”が繋がることができる最強のツールでもあるのだ。