『ピアノ・レッスン』の監督が明かす名曲の誕生秘話「人生においてもっとも偉大な経験だった」
でも、実際にアプローチしてみるとすごく喜んでくださいました。というのも、彼は私が手掛けていたテレビシリーズのファンだったんですよ(笑)。
その後、彼がオーストラリアに来てくれたので、ピアノの部屋を用意したのですが、5分くらい滞在したと思ったらショッピングに出かけてしまい、それが終わったら今度はクリケット。そしてまたショッピングに行きたいというので、正直に言うと時間がなくなってきて私自身はすごく慌てていました。
本当に美しい曲でワクワクした
―それは驚きですが、その状況からどのようにして、あれだけの名曲が生まれたのでしょうか。
監督もともと彼は弦楽器を多用することで有名な方だったので、「怒らないで聞いてほしいのですが、できればピアノで表現してもらえませんか?」と聞いてみました。はじめは彼もかなりショックを受けていたようですが、「古いスコットランドの曲をリサーチしてみようと思う」と言って快く了承してくださったのです。
エイダはスコットランド出身の設定だったので、曲によって彼女の底辺にあるものが浮かび上がってくるようなすごくいいアイデアだと思いました。
―実際、初めて曲を聴いたときはどのような印象を受けましたか?
監督その時点でいまの完成形とほぼ同じ曲が出来上がっていましたが、本当に美しくて、ワクワクしたのを覚えています。