『ピアノ・レッスン』の監督が明かす名曲の誕生秘話「人生においてもっとも偉大な経験だった」
というそれだけです。
いい仕事をするのに、ジェンダーは関係ない
―作品を発表した当時、ご自身の出身地であるニュージーランドでもそういった流れはあったのでしょうか。
監督個人的な経験からお話すると、私がフェミニズムのムーブメントを感じたのは、大学生だった70年代の頃。当時は映画学校も男女の比率が半々でしたし、若い女性みんなが関わっているほど女性解放の運動が盛んにされていました。
このまま順調に行くかと思っていましたが、90年代後半から「お金がすべてである」という風潮が社会を覆ってしまい、どんどんひどい状況に…。そこから昨今の#MeToo運動へとつながっていくわけですが、ようやく女性たちに追い風が吹き始めたように感じています。そもそもいい仕事をするのにジェンダーは関係なく、重要なのはそれぞれの感覚や才能。最近はそういった理解が進んできているように思います。
―また、本作を語るうえで、テーマ曲となるマイケル・ナイマンのピアノ曲「楽しみを希う心」は欠かせませんが、いまだから話せる誕生秘話があれば教えてください。
監督実は、私自身はピアノが弾けませんし、あまり音楽的な人間でもないので、彼にアプローチすることを恥ずかしいと感じていたんです。