国会を舞台にハイキャリア女性が直面する差別を描く…驚きと感動の結末にも注目の『女の国会』
新川帆立さんの政界を舞台にした小説、『女の国会』をご紹介。
政治になじみのない人も臆するな。男社会でサバイブする女たちの奮闘。
「過去のフェミニズム文学では、差別と貧困の問題が不可分に描かれていることが多いと感じます。でも、社会的地位があり経済的に恵まれている人であっても、女性であるだけで差別され、社会のどの位置に逃げても差別は追いかけてくる。それを描くためにハイキャリア女性が直面する差別を描こうと思いました。少なくとも2020年代にこういう現実があったのだと、作品の形で世の中に刻みつけておかねばという使命感めいたものがありました」
新川帆立さんの『女の国会』の舞台は政界。首相経験者の父を持ち、自身も40代で当選5回、女性初の総理大臣もあり得ると期待されていた与党議員・朝沼侑子の訃報が舞い込む。
遺書があり、死因が青酸カリだったため、自殺説が濃厚とされた。
しかし、朝沼自身も賛同し、超党派で進めていた「性同一性障害特例法の改正案」に待ったがかかったタイミングとはいえ、自殺するには動機に乏しい。
そんな朝沼の死に疑問を持った野党議員の高月馨や、高月の政策秘書・沢村明美は真相を探り始める。