現代劇の女方・篠井英介、『天守物語』は「泉鏡花独特の日本語の美しさを感じられる作品」
鏡花や日本の古典に敬意を払ったうえで新しいものを作ろうとされている姿勢にとても共鳴して。以前に演じたことがある『天守物語』ならば、桂くんと一緒に新しいものを作れるかなと思いました」
本作は、異界の主・富姫と人間の鷹匠・図書之助(ずしょのすけ)が恋に落ちる物語。
「妖怪と人間のラブロマンスの中に社会風刺的な視線があるんですよね。そして、日本人の持っている精神性…正義とか清らかさといったものが貫かれていて、出てくる女性がみな一本気でカッコいい。そのカッコよさを多くの方に観ていただきたいという思いがすごくあります。そして何より、鏡花独特の日本語の美しさを感じられる作品なんです。その言葉が言語化されて俳優の体を通して聞こえてくると、また違った趣や味わいがあるんです」
日本の伝統的な笛や鼓などの生演奏もありながら、ヒップホップやEDMなども取り入れられるそう。
「ただ、アングラだったりアバンギャルドな方向にいきすぎないように。
カッコよくて品がいい美しいものにしたいよねと話しています」
演劇においてリアルは大事な要素だ。しかしこれまでも、ジェンダーを超えて篠井さんが演じることで、女性が背負う業や悲しみがより際立って見える作品がいくつもあった。