堀潤「世界の平和と安定には、中道的なものを構築することが大事」 欧州で台頭する“極”を警戒
つまり、思想的な理由ではなく、生活苦が極右を押し上げているのです。これは、自国第一主義を掲げた、’21年までのトランプ政権の反グローバリズムの流れが影響していると考えられます。コロナ・パンデミックやウクライナ戦争がその流れを加速させました。
極右が台頭していますが、極左の支持も増えています。どちらにせよ極に振れることはあまり歓迎できません。違う意見を認めることができず、反発と分断が進んでしまいます。世界の平和と安定には、中道的なものを構築することが大事です。不安や不満が広がる社会では、極端な方に振れやすくなる。
それを食い止めるには、国民が何に困っているのかに耳を傾けることです。また、デジタルを使い、政策により何が改善し、どれほど不満が緩和されたのか、データで検証するシステムを構築すること。そうすれば、極右極左と、世の中の空気によって流されるようなことはありません。第一次、第二次世界大戦の時のように世界が分断され、疑心暗鬼により相手を罵り合い、最終的に戦争を引き起こす悲劇が二度と起こらないよう、警戒が必要です。
ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」