成河「観ている人も巻き込んで裏切ったり裏切られたり」 舞台『ピローマン』の魅力を語る
戯曲の深い読み込みと解釈、フィジカルの表現力の高さに知性、何より演劇への高い熱量で“演劇モンスター”なんて異名も。台詞・歌・ダンスとジャンルの壁を越えて縦横無尽に行き来する成河さんの次回作は、映画『スリー・ビルボード』の監督としても知られるマーティン・マクドナー作の舞台『ピローマン』。
観ている人も巻き込んでいく。普通じゃないけど面白いです。
「コロナ禍で仕事が止まったときに、あり余る時間の中、オンラインでいろんな戯曲を持ち寄って読む会をやっていたんです。そのとき取り上げた作品の中でも上演のイメージが湧いた作品だったので、いつかやれたらいいねと話していたのが、ようやく今回結実した感じです」
演じるのは、子供が悲惨な目に遭う物語ばかりを書く作家・カトゥリアン。彼の作品と酷似した事件が起こり、嫌疑がかけられる。マクドナー作品は人間同士のわかり合えなさや不可解な悪意、その先にある虚しさや切なさを描いたものが多いが、「最後にちゃんと受け取れるものがあると思う」と語る。
「今って、一見平和だけど裏で発散しきれない鬱憤が溜まっていっていて、そういうものを引きずり出すことに、マクドナーは価値を感じているのかもしれません。