誰もが平等に持っている自由について ~私の恋愛も、あなたの恋愛も、絶対悪くなんかない! 最強の恋愛小説集『きみはポラリス』~
※ 三浦しをん『きみはポラリス』(新潮社)平成23年
北極星のような光を放つ、最強の恋愛小説集本書は、11の恋愛短編小説が収録されており、一見どこにでもいそうな登場人物が主役です。ですが、そのほとんどの人が「秘密」を抱えて生きていました。
夫が浮気や会社の金を横領しているのを、全部受け入れて知らないフリをして生きていくをこと決めた妻や、亡くなった人の骨片を持ち、思い出だけを胸に一生を生き抜くことを決めた女性、同性愛や片思い、禁断の愛……など、ステレオタイプではない恋愛模様が展開されます。
タイトルの「ポラリス」とは、「北極星」を意味します。
彼女たちは誰かのことを大切に想う時、「北極星」が放つような、特別で決して揺らぐことのない、ほのかな光を静かに放っていました。
言葉にできなくて、他人からはなかなか受け入れてもらえない恋愛でも、自分が大切に思う「好き」だという気持ちから決して目をそらさず、きちんと受け止めて、その特別な光に支えられるように、毎日を生きていたのが印象的でした。100人いれば100通りの恋愛の形があり、いろいろな愛し方、生き方があるのだということを、この小説から教えられました。