あなたの心のなかにもある「モンスター」と「グロテスク」【 私をしあわせにしてくれる1000のアイテム】#0045
1997年3月に起こった東京渋谷の円山町で起きた事件を元にした物語で、脚色されていますが、この話がやたらとおもしろい。被害者は慶応大学経済学部を卒業し、東京電力という一流企業に勤務する39歳のキャリア女性で、夜は売春をしていた、という実話を元に作られています。
「東京電力」と聞くと、私はこの被害者のことが頭に浮かぶくらいです。容疑者もこのあいだ「冤罪」で釈放になりました。
ユリコというそれこそ類まれな美少女が出てきて、そこからQ女子校の話が俄然、おもしろくなってきます。
ユリコは「怪物」と言われるほど、美しい(Q女子校というのは、ヒエラルキーの頂点みたいな学校です)。
<誰か声をかけて。あたしを誘ってください。
お願いだから、あたしに優しい言葉をかけてください。綺麗だって言って。可愛いって言って。お茶でも飲まないかって囁いて。今度、二人きりで会いませんかって誘って>
これはグロテスクの中の「佐藤和恵」。それこそ東京電力に勤めていただろうと思える女性の言葉です。
この話には、救いがない。男が女をどう見ているか、女はどう生きていけばいいのか、そもそも女とは何なのか、ということを考えさせてくれます。