「イギリス人として軍事訓練をした」。日本人が受け入れられない学校で“人種差別の残酷さ”を知った女性|イギリスで“日本人”として生きることとは。
過去、被支配者階級を分断し互いを争わせる分断統治と呼ばれる政治手法を用いて植民地支配を繰り広げてきたイギリス自体が、未だ根深い分断社会である事実が露呈したのは、皮肉としか言いようがありません。
差別されて気づいた「自分の差別」
私がそんなボーディングスクールへの留学を通して得た一番の経験は、きらびやかなイギリス白人上流階級の生活を垣間見たことでも、流暢な英語が喋れるようになったことでもなく、社会の権力構造を階層の頂点に近い場所から見渡し、かつ自分とそこにいる人々との違いを見せつけられ、差別される側になり、初めて差別と不平等が存在することと、それらの不合理さが分かるようになったことだと考えています。日本で日本人として暮らしていても感じることはなかったであろう人種差別の残酷さ、そして日本では語られることの少ない階級社会の不公平さ、初めてそれらに疑いを抱き、異議を唱えられるようになりました。一方ロンドンでは、ボーディングスクールとは正反対の多様性に溢れたイギリスを見ることができ、人種、階級、ジェンダー、セクシュアリティなどにかかわらず様々な人にとって、これほど住みやすい場所があるのだと驚きの連続でした。