くらし情報『消費者の「食べたい」に合わせて農家が食品を生産する、という“間違った”構造に終止符を打つレストラン』

2018年4月9日 04:01

消費者の「食べたい」に合わせて農家が食品を生産する、という“間違った”構造に終止符を打つレストラン

だが、バーバー氏が主張しているのは、「食の作り手と食べ手の力関係」である。近年の農業は、消費者の需要と嗜好に合わせて、多少自然の摂理に抗ってでも生産を増やしてきた。たとえば、ドキュメンタリー映画『FOOD.INC』で指摘されている鶏の飼育シーンでは、大量のひよこが小さな空間に敷き詰められることで、歩けなくなるようにして身体を肥やさせる。そうする理由は、食べる人が丸々と肥えた鶏肉を欲しているからだ。

width=“100%"

レストランBlue Hillを拠点とし、長年食と向き合ってきたバーバー氏が注目したのは、フレンチやイタリアン、スパニッシュ、中華、といった長い時間をかけて発展してきた世界の食文化である。地域でよく栽培される野菜は、最も旬な時期を知ったその地域の人によって調理され、楽しまれてきた。2013年に世界遺産に認定された和食も、その特徴として「海、山、里と表情豊かな自然が揃っているため、各地で地域に根ざした多様な食材が用いられていること」と「素材の味を引き出す調理技術と道具が発達していること」が一番にあげられていた。例えば、日本の田園地帯では、春にはウドやたらの芽などの山菜を採り、夏は川で若鮎を塩焼きにし、秋は山できのこ狩りをして、冬は日本酒と酒肴で身体を温める。

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.