“ナチスの根幹に関わった103歳の女性”の記憶を追うドキュメンタリー『ゲッベルスと私』の監督インタビュー
写真中央に座っているのがヨーゼフ・ゲッべルス© 2016 BLACKBOX FILM & MEDIENPRODUKTION GMBH
しかし、ポムゼルのこの正直さこそ、監督たちが彼女へのインタビューを希望した理由でもあった。「彼女は間違いを犯したことは認めているが、罪悪感はない。とても正直で、それは素晴らしいことです。無論、それでも彼女の行いは間違っていたことに変わりはありませんが」と話すのは同作のプロデューサーでもあるクレーネス監督。過去にポムゼルはナチスの秘書時代についての取材をメディアから受け、意図した言葉とは異なるように発信されたこともあり、はじめは今作への出演も乗り気ではなかったそうだ。それでも最終的に出演する決断を下した彼女の動機はなんだったのかと聞くと、この映画は決してストーリーを脚色しないと、彼女に信じてもらえたのが大きかったという。「僕たちはポムゼルを信じていました。彼女が話してくれたストーリーが彼女にとって真実のストーリーだと僕たちは心から信じているのです。
歴史的な真実ではないかもしれない。人間は都合のいいことだけ覚えているものですから。彼女はそうすることでしか過去を抱えて生きていけなかったのかもしれないから」