“ナチスの根幹に関わった103歳の女性”の記憶を追うドキュメンタリー『ゲッベルスと私』の監督インタビュー
と、脚本執筆とインタビューを行ったヴァイゲンザマー監督は思い返す。ポムゼルは2017年1月27日、『ゲッベルスと私』のイタリア公開初日であり、国際ホロコースト記念日に106歳でその生涯を閉じた。
「無関心」という罪
ユダヤ人大虐殺を考えれば、映画のポスターに記される彼女の「なにも知らなかった 私に罪はない」というキャッチコピーに衝撃を受ける人も少なくないだろう。しかし、同作では彼女の言葉を通してヒトラー政権下の“善良なドイツ市民”の姿が浮き彫りになる。自分がやっていることはエゴイズムなのか これは悪いことなのか 自分に与えられた場で働き良かれと思ったことをする みんなのためにね でも他人に害なのは分かってる それでもやってしまう 人間はその時点では深く考えない 無関心で目先のことしか考えないものよ作中の彼女の言葉だ。自ら手を下すことはなかったにしても、加担していたユダヤ人大虐殺について、彼女が主張する通り知らなかったのか、それとも本当は知っていのか。真実は観客にはわからないが、少なくとも自身の行動を正当化する「意識的にすらみえる無関心」の思考回路は垣間見られる。「ポムゼルは僕たち全員のなかにいるってことを気づかなければならない」