「アートか、わいせつか」の議論から離れ、“性表現の規制”をかいくぐって遊ぶフォトグラファー
「わいせつ物」とみなされるものを流通させてはいけないというのが大まかにあって、該当するものには「18禁」をつけないといけない。何がわいせつ物なのかっていうのはグレーでタイミングによって揺らいでいく。それに加えて、製作者の知名度とかどの程度社会的に認められているか、展示されている場所や時代性によってすごく左右されている印象です。
同名のZINEの表紙にもなった写真(男性二人が向かいあってキスをし、片方の男性がもう片方の男性の性器を手で握っている)のポスターが会場から撤去されたのは、フェアの最終日である4日目。作者である彼への確認はせず、ただ剥がされただけで、タクヤ氏が到着しても誰からも忠告を受けなかった。ブースにいたスタッフから経緯を知らされた彼は、そこで何を思ったのだろう。
ポスターが剥がされたと聞いたとき、二つ同時に思ったことがあって、「よく最終日までもったな」というのと「そういえば性器とかって公衆の前であまりおおっぴらに出していいものじゃないんだ」ということ。対極にある考えなんですが、同じくらいのタイミングで湧いてきて。
FOODのポスターとして使用されていた写真Photo by takuya watanabe takuya
家族連れの多いイベントではなく、ポスターの性器が出ている面積も小さく、彼からしてみれば問題があったようには思えなかった。