14作目:「通過儀礼」や「男になること」の意味、タブーとされる「同性愛」を扱った南アフリカのプロダクションの挑戦 |GOOD CINEMA PICKS
日本で成人になるための儀礼といえば、思いつくのは「成人式」だろう。他方、南アフリカでは現在まで続く通過儀礼として、割礼(包皮切除)を10代の少年に施す慣習がある。その多くは十分な訓練を受けていない者が麻酔をかけずに施術する伝統的な方法で行われ、感染症にかかる可能性が高いだけでなく、死に至る場合も少なくない。今回紹介する映画は、伝統の名のもと続けられてきた“男”となるための通過儀礼や、そこで重要視される“男”という価値観に対する疑問の念、同性愛へのタブー視を描いた作品『傷』だ。今年で27回目の開催となる、「セクシュアル・マイノリティ」をテーマとした作品を上映する映画祭「レインボー・リール東京」で上映される同作は、南アフリカでは「内容が過激」とされ、主要映画館での上映が中止されている。
社会的に“男”となることの意味
男性器の意味ってなんなのさ?いいものだと思うけど、そんなに大切な道具なの?人はそれが利口だと思ってる。男性器が最も重要なものであるかのように男はそれに従っているけど、ばかげてる。そんなのとんだ見当違いだよ
作中に出てくるこのクワンダの言葉から考えさせられるのは、南アフリカだけでなく日本にもある、伝統的な「男性を重んじる価値観」