斎藤工インタビュー 『不良少年 3,000人の総番』で感じた、シンプルな男女の距離
だからこそ、70年代を生きる人たちの学ランを背負うことは、年齢では片付けられない重みがありました」。
本作に携わるにあたっては、まさに「70年代」が自身の中のキーワードとなった。
「その時代感に惹かれるんですよね。僕自身は81年生まれだし、親の世代でもない。現実味のない年代ではあるけれど、ATG(日本アート・シアター・ギルド)の映画など、70年代のものにすごく影響を受けている自分もいるんです。そんな中、僕が演じたのは“不良”というよりも、いまは存在しない“番長”。“こうあるべき”というルールが崩れ出した時代の変わり目にいる人間の物語として、役の本質を作品に込めるのが僕のミッションだと思いました」。
演じた主人公・千藤鷹也は全校生徒の約半数が不良の高校に通う男。
喧嘩に明け暮れる日々を送っていることからも、斎藤さん自身とは共通項の少ない役のように思えるが、「いつもそうなんですけど、“コイツはこうだから普段の自分とは喋り方を変えてみようかな”とか、そういったことがそもそもできないんです」と明かす。
「お芝居って、演じるというよりも、もっと中から出ちゃうもの。シンクロする部分と相違点がある中で、自分に寄せるというか、エピソードを重ね合わせていく過程があるんです。