【シネマモード】映画に「騙される」秋 「騙し」を通して相手を知る『夢売るふたり』
(Photo:cinemacafe.net)
人を騙す生き物と言えば、昔からキツネとタヌキが有名ですが、彼らよりもよほど始末に負えない動物がいます。それはもちろん、人間。残酷なほど狡猾に、人の心を弄ぶ…。その極悪非道ぶりといったら、昔ばなしに登場するキツネやタヌキの比ではありません。手を変え品を変え、お年寄りを騙す振り込め詐欺、訪問販売詐欺なんて、ニュースでやり口を知るたびに、胸がムカムカ。人は、ここまで下品になれるものかと驚きすら生まれます。人間の想像力は素晴らしいものなのに、こんな風に悪用するなんて…と。
ただ、映画や小説などで意外な結末に驚愕させられる、そんな“騙し”は「ああ、やられた!」と爽快感すら覚えます。
想像力を駆使し、人を騙す――。テクニックは同じでも、人の心を傷つける詐欺とは大違いです。意外な結末へと導かれていく『夢売るふたり』も、一種の楽しい詐欺に会うようなものかもしれません。というか、主人公たちは夫婦で詐欺師。映画を観れば、実際に詐欺に出会っちゃうわけですが。
それにしても、詐欺の話なのに、“夢を売る”とはけしからんと思う方もいるかもしれませんが、映画を観るとなぜか納得できるはず。