玄里meets監督・岩井俊二 『ヴァンパイア』から明かす、男のナンセンスな行動
という台詞が印象的で。以前、私が車の運転が下手なのを相談したときに「ニシキヘビに雁字搦めになるより、熊に襲われるよりいいじゃん」みたいなことを監督が言ってたの覚えてます?何かそのときを思い出したんです。
岩井:そうだっけ(笑)?確かに、あれは自分っぽいかもしれないね。今回、『ヴァンパイア』の小説で、主人公の脳の中を語っている話を書いてるんだけど、“血を飲みたい”という衝動がどこから来ているのか、その衝動のゆくえがどこにあるかって辿ると命とか宇宙とかなのかな、みたいなことが展開されるんだよ。彼の衝動って、男性にとっては性欲のメタファーだったりするから、男の人は自然にあの一連の行為を「ああ、そういうことなんだな」って感じると思う。
玄里:血を飲むという行為がですか!?
岩井:あそこまでして血を飲んだのに吐いちゃって、吐いたらすっきりして小便して去っていくという。あのあっけなさが男性は変なところで合点がいく造りになっていて、なぜ彼が血を飲みたいのか分からないけど、“上がって降りていく”一連のパターンが男性だと分かるんだよね。女性でも分かるのかな?
玄里:血を飲む…うーん。
岩井:何かに取りつかれたようになるんだけど、何かが満たされると急に興味がなくなったり。