玄里meets監督・岩井俊二 『ヴァンパイア』から明かす、男のナンセンスな行動
岩井:そうなの、男からすれば不公平だろって話なんだけど。『ヴァンパイア』もその気になれば主人公を女の子にできるよね。元々、吸血鬼・カーミラという代表的な古典の吸血鬼ものがあって、それは女の子が男の子を狙う話だし、『ぼくのエリ 200歳の少女』もそうだよね。
玄里:岩井監督は元々ヴァンパイア映画は好きなんですか?
岩井:子供の頃は、夏になると必ず洋画劇場とかで『吸血鬼ドラキュラ』のシリーズをやっていて、夜9時の時間帯で、ただでさえ白人が出てくると怖いわけよ。見慣れないし、血を吸ったりしてるから、ヴァンパイア映画を観るとそれが頭の中で循環しちゃって、洋画を観れば観るほど白人が怖くなってくるというスパイラルに入ってて、とにかく怖かったね。そうこうするうちに『エクソシスト』が出てきて。ラブストーリーとか、何も起きないものを観てても急にガッとやられるんじゃないかって。
玄里:いつか牙を出すんじゃないかって(笑)。
岩井:それが大学のときに萩尾望都さんの「ポーの一族」という漫画を読んで、それは漫画の中でベスト5に入るくらい大好きな作品なんだけど、これは吸血鬼の不老不死をテーマにしているんだけど、それに憧れて、友達と自主映画でそういう映画を作ったことがあるの。