メルヴィル・プポー インタビュー 監督は“『スター・ウォーズ』のヨーダ”のよう?
と笑うメルヴィル。確かに長尺の本作で彼が登場する時間は長くはない。「僕は現場のマスコットみたいな存在でもあったかな。ラウルの撮影はいつも、とても心地よかった。誰に対しても優しい人なんだ。スタッフも皆、彼が大好きだった。ラウルへの愛に満ちた家族的な雰囲気で、誰もが映画作りを楽しむためにそこにいる。お金を稼ぐために働くってだけじゃない」。
どんなに短い出演時間でも、ルイスからのオファーに「ノー」と言ったことはない。「彼との仕事は本当にユニークなものだから。普段のパリの生活でも、しょっちゅう彼に電話したり、会ってランチしたりしていたよ。臨終のときも、彼が入院していた病室に僕はいた。彼は僕の師だった。『スター・ウォーズ』のヨーダってところかな。しかもラウルはヨーダよりユーモアのセンスがあるし(笑)」。
博識の人だったルイスは、独自の理論を持っていたとメルヴィルは考えている。
「カバラ数秘術や科学や数学、中国や日本の文化にも通じていた。そうした知識を基に彼ならではの理論をを作り上げたんだと思う」。その理論の集大成とも言える『ミステリーズ運命のリスボン』は、1人の人物が持ついくつもの過去、いくつもの顔を描く複雑な構成になっている。