玄里meets監督・犬童一心 足掛け9年『のぼうの城』の裏側、“映画な映画”へのこだわり
シナリオを小説にしてベストセラーになってやっと映画化にこぎつけた。
玄里:監督の映画監督になるまでのルーツに興味があるのですが、最初から映画監督になろうと思ってCMを撮り始めたんですか?
犬童:僕は17歳のときから8ミリで自主映画を作っていて、大学のときにはインディーズの世界ではある程度名が知られていたんだけど、仲間たちがそのままフリーで映画業界に進んでいったときに僕は就職しないと貧乏になると思って広告業界に行ったの。そこで6年くらいCMの制作の仕事をやってた。30歳を過ぎてCMディレクターになってからまた自分の作品を作るようになったんだ。大学の後輩だった山村浩二君(『カフカ 田舎医者』)と2人で作ったアニメーションが賞を獲って、その賞金で次の映画を作った。それを観た市川準監督が映画のシナリオを書かないか?って誘ってくれて、映画の世界に来たの。
玄里:シナリオも書かれてたんですね。
犬童:シナリオは仕方なく書いてたんだけどね(笑)。
嫌いではないんだけど、やっぱり才能のあるシナリオライターさんに書いてもらった方がいいから。『のぼう』の和田さんとか『ジョゼ~』の渡辺あやさんとか、本当に才能がある脚本家が書いてくれたシナリオを撮る方がずっとおもしろい。