玄里meets監督・深川栄洋 『ガール』で再び発掘した、新しい引き出し
みたいな形で映画の良さに気づき始めたので、本当に遅いんですよ。ちゃんと映画に向き合ったのは専門学校に入った18歳の頃からで、それまでに観てきた映画以外にもいろんな映画があるんだというのを知って、25歳くらいまでにいろんな映画を観ましたね。いまも新しい匂いがする映画を自分の嗅覚で嗅ぎ分けて、休みがあると観に行きますよ。
玄里:監督は専門学校で元々、録音を勉強されていたんですよね?
深川:同じクラスだった吉田恵輔監督は照明系をやっていて、僕は録音技師になれたらいいなとぼんやりと考えてたやる気のない学生でした(苦笑)。
玄里:なんで録音だったんですか?
深川:僕は本当に不勉強で、女の子が好きだから入ってしまった不純な男でお恥ずかしいんですけど、勉強もできないし、監督は無理だろうなと思ってたんです。そのときに観たヴィム・ヴェンダース監督の『リスボン物語』(’95)という映画の主人公が録音技師で、劇中で映画の声をつけたり近所の子供たちと足音や風の音などをつけているのを見て、声や音を吹き込むことで映画が命をもつということを教わったような気がしたんです。こんな仕事は素晴らしいと思って録音のコースに入ったんです。