「色」で観る『ルビー・スパークス』 恋が変える、カレを取り巻く世界の色々
(Photo:cinemacafe.net)
劇中に登場する衣裳といえば、時代を反映したり、キャラクターたちの性格、育ち、ライフスタイルや経済状況、そして心理、感情、心の変化までを映し出したりする、鏡とも言える存在です。つまり、どんな映画にとってもファッションとは、昔から切っても切り離せないもの。ですが、数ある作品の中でも、特にその重要性が極めて高いものがあります。ちょっと不思議なファンタジック・ラブストーリー『ルビー・スパークス』もその一つ。本作は、若くしてベストセラー作家になったものの、もう10年も第2段が書けずに悩んでいるカルヴィンと、彼が書いた小説のヒロインで、現実世界に飛び出してきたキュートなルビーとの恋物語。ストーリーが進むにつれて起こるカルヴィンの変化が、彼を取り巻く世界に加わっていく色によって表現されているのですが、その色の源が「服」なのです。
登場人物の内的な変化に応じて、着る服や身に着けるものの色が変わっていくというのは、映像作品にはよく用いられる手段。ですが、今回はちょっと違います。
というのも、変わっていくのは彼の色ではありません。作品に色を添えていくのは、恋のお相手・ルビーが着る服。