誰もがみんな子どもだった…家族を思い童心に返る映画『天才スピヴェット』ほか
12年の時が過ぎる中で、そのつど家族の姿は変容し、最初はあどけない少年だったメイソンも、その中で成長し将来の夢を見つけ、やがて母の元から巣立っていく…。
メイソンを演じたのは、12年前にリンクレイター監督がオーディションで見出したエラー・コルトレーン。彼を始め、母親役のパトリシア・アークエット、離別した父親役のイーサン・ホーク、姉役のローレライ・リンクレーターも、1年に数回、夏休みなどを利用して集まり、12年間撮影を繰り返して、この画期的な映画を完成させた。
子どもたちの成長のみならず、シングルマザーとして子育てをしながら大学へ通い直し、自分の夢を追い続けた母親のパトリシアも、時々現れて子どもたちと“ガチ”に遊ぶ父親のイーサンも、それ相応に年を重ね、時に人生に迷う姿も見せており、まさにひとつの家族の変遷が描かれていく。
親である人はもちろんのこと、思わず自分自身の子ども時代を顧みたくなる本作は、あの頃、分からないことだらけの子どもながらに、精いっぱい“いま”を生きていたことを思い出させてくれる。いずれも、ラストには温かい涙と笑顔が自然にあふれてくる3作。家族の愛に触れ、ふと“童心の自分”に返らせてくれる映画から、“いま”の自分を見つめ直してみては。