英国版“おくりびと”から手紙の代筆、南極の料理人まで…映画で見る“お仕事図鑑”
ウィル・スミスの親子共演が話題となった『幸せのちから』が描くのは、事業の失敗により一度はホームレスにまでなりながら、最終的には成功をつかみ、億万長者となった実在の男の半生。愛する息子との生活のため、証券会社の正社員をめざす父親の奮闘は単なるサクセスストーリーではなく、父子の愛情や絆を感じさせた。
家族の絆といえば、マット・デイモン主演、キャメロン・クロウ監督『幸せへのキセキ』は、自宅として買い取った動物園を再生させるべく、飼育員や地域住民と協力して苦難を乗り越えていく男の物語だった。半年前に妻を失った悲しみや、意思疎通が難しくなっていた子どもたちとの関係は、動物という命と向き合う仕事を通じて修復されていった。
また、ジョン・メイの生真面目さは、第37回日本アカデミー賞「最優秀作品賞」受賞作『舟を編む』で、松田龍平が演じた辞書編集者・馬締にも通じるものがある。馬締だけでなく、一人ひとりが言葉に対して真摯に取り組み、8年もの年月をかけて1冊の辞書が完成するまでの裏側を見せつつ、まじめに生きるものの達成を見せていた。
まじめにコツコツと慎ましく生きてきたものの、不況のため職を失い、次から次へと災難が降りかかてしまう、アキ・カウリスマキ監督の『浮き雲』の夫婦も同様だ。