【シネマモード】“ギャップ”で掴まれた心、その先に感じるものは…『きっと、星のせいじゃない。』
病を抱えているということ以外は、ごく普通のティーンエイジャーのカップルなのですから。
もしかすると、本作の魅力は“普通”であることかもしれません。ガンに侵された余命わずかな者同士の組み合わせを、先入観なく普通に描くのは至難の業。しかも多くの観客は、同情をひくようなエピソードや、私たちがイメージするガン患者の日常などが描かれていると思って映画を観るはず。ところが、そこには驚くほどの明るさや羨ましくなるほどの希望さえある。それを観客がいくら意外に思おうが、これこそまさに原作者が実際に見聞きした、ガン患者たちの普通で愛おしい日々。困難の中にあっても普通に笑い泣く日常があるということを、コミカルなタッチも織り交ぜながら伝えてくれるという意外さは、本作の魅力のひとつなのです。
普通と言えば、主人公たちのファッションもごく普通。
とってもスタイリッシュというわけでもなく、どこにでもいそうなアメリカの男女のカジュアルスタイルが披露されています。デニム、Tシャツ、スウェット、コンバースのハイカットにUGGブーツ…。ところが、キュートなこのカップルは、大好きな作家の招待でオランダ・アムステルダムに行ったとき、素敵なギャップを見せてくれます。