【シネマモード】勇者の“素顔”が見えてくる…『ディオールと私』
とは言わないのがプロ。そして、困難に見舞われてもスタッフに「無理です」と言わせず、この人のために何とかしたいと思わせるのもプロ。そして、仲間から最大の効果を引き出し、どんな苦労も、「ああ、素晴らしいありがとう」という言葉と満面の笑顔で帳消しにしてしまうものプロなのです。
スタッフたちが、無理難題を提示されながらも“あの人のためなら”と頑張るのは、やはりラフに対する敬意があるから。もちろん、ラフからの敬意も不可欠。スタッフも駆けつけたコレクション当日の舞台裏の様子には、それがはっきりと分かります。ひとつの大きなものを、一緒に作り上げていると思えばこそ、“やらされている感”など生まれないのです。
物書きの端くれとしては、不労所得、つまり“泉のように湧いてくる印税”に憧れる気持ちもありますが、ほとんどの成功者たちは、不労はおろか、人の何倍も努力をしています。
驚くほどの成功を手にするためには、不可能と思われることにもまず挑戦する。きっと、挑戦を恐れて避けてしまう人々より、何倍も傷ついた経験があるはずなのです。たいてい、成功者は人生を左右するような失敗を経験し、苦い思いを乗り越えつつ、胸に抱いて成功を手にしています。