【インタビュー】<後編>北野武×藤竜也 ジジイの楽しみ方、人生の幕の引き方
芸能界に入っても、上のヤツらをどう引きずりおろすかってことばかり考えてたね。特にバラエティなんか「コント55号」と「ドリフ」にどう取って代わるのか?そればっかり考えて、いろんなネタをやってた。いまの若い人たちは、どちらかというと競争とか自分が上に立つってのではなくて、初めから自分のランクを決めてるところはあるのかな?一番上じゃなくて、2番手、3番手とか居心地のよいポジションを決めてて、「這い上がろう!」って気持ちや欲はあまりないのかなって。位置関係を自分でハナから決めて「このクラスでいいよ」っている気がする。我々の時って意味もなく「女」と「車」と「金」がほしいって気持ちが強くて、いい外車乗りてぇとかあったけどいまはまず「あきらめる」ってところから始まってて若者が「車に興味がない」って言い方するけど、ハナから選択肢から自分で消しちゃってるんじゃないかなって気がするね。でも、そうするとおのずと仕事でも「その程度の役者とかコメディアンでいいんじゃないか」って気持ちになっちまうんじゃないかなって思うよ。
――スポーツ界などでも「レジェンド」という言葉がもてはやされているが、漫才ブームはおろか、80年代の終わりから90年代と監督・俳優として活躍を始めた頃にも生まれておらず、いま現在のTVや映画でしか“ビートたけし”“北野武”の名を知らない若い世代も徐々に増えている。