【インタビュー】<後編>北野武×藤竜也 ジジイの楽しみ方、人生の幕の引き方
って気持ちもあって…。そのレールに乗っちゃったらしょうがないかっていう感じでここまで来たのかな?手は抜かないでやって来たつもりなんだけどね。まあそうやって、ベクトルが決まったら、あんまりねじ曲がらないしね。これからミュージシャンになるって言ったってできないけど、映画やTVを続けるなら、よほど体が悪くなってやめない限り、そのままやってってパタッと死ねばいいなって思ってるね。
藤:僕はね、ここ何年か前からなんだけど、基準があってね。「桜」なんです。「来年の桜を見られるか見られないか?」――それを基準にして、次に桜を見るまでに、できれば映画で1本、いいのをやりたいって。ただそれだけ思ってるんです。
だからいま、ちょうど「今年も何とかまた桜が見られたな」という気持ちでいるんです。じゃあ、また来年まで…と言っても、こちらは役をいただけるのを待つ身なんですけどね。きっかけ?いや、自然とね、67~68歳あたりからそういう風に考え始めたんだね。「あぁ、今年も桜が見られたな」って、ふとそう思ったんですよ。
――「生涯現役」というこちらの言葉に、藤さんは「そんな大層なことじゃないね。引退なんて考えたこともないし、“引退宣言”をするような、それほどの役者じゃないしね」