2015年11月2日 20:00
【シネマカフェ的海外ドラマvol.335】面倒臭くても家族は家族!ユーモア満載の「トランスペアレント」
女性としての自分と真正面から向き合いたい父モートンのエピソードをドラマの中心に据えながら、父の事情に呼応するかのように、自分の事情と向き合い始める子どもたちの物語も加速していくのが「トランスペアレント」らしさ。最初に父の秘密を知る長女サラは既婚の身でありながら、大学時代に交際していた女性と不倫関係に。音楽プロデューサーの長男ジョシュアはいまいち大人になりきれず、それが女性との関係にも表れています。そして、繊細な次女アリも、家族に甘えることをやめられないまま自分を模索中。それぞれ事情を抱えながらもがく不完全家族の姿を、ファミリードラマの秀作「シックス・フィート・アンダー」や「ユナイテッド・ステイツ・オブ・タラ」に関わってきたクリエイター、ジル・ソロウェイがどこにでもいる家族のようにさり気なく、真心をこめて描いています。テレビ賞ではコメディ部門に分類されていますが、ワハハと笑える場面でぐいぐいと物語を引っ張るのではなく、例えば自分の欠点や間違いを自覚したときに思わずもれる苦笑いのような、密やかで愛おしいユーモアが全編に漂っているのも魅力と言えるでしょう。どんなにいびつで、面倒臭くても家族は家族。