くらし情報『【シネマカフェ的サントラのすすめ Vol.8】『母と暮せば』『COMET/コメット』』

【シネマカフェ的サントラのすすめ Vol.8】『母と暮せば』『COMET/コメット』

日本が誇る映画音楽家の受賞には、期待感が募るばかりだ。

坂本氏の起用が発表された際に山田監督が「ぼくの頭の中にはすでに坂本龍一の美しい音楽が鳴り始めています」と語った通り、全編を通して響く氏の旋律はどれも美しく、優しくも悲しい本作の叙情性をドラマチックに盛り上げている。坂本龍一の凜とした水気を含んだピアノの音色が、陰翳を強く感じる美しい画に染み渡り、流れるような力強いストリングスの旋律は観るものの涙を誘う。

「核のない世界を望んでいるぼくとしては、これはやるしかありません」と坂本氏が語るように、冒頭のB29のシーンなど、胸が張り裂けそうになるようなトラックも収録され、氏の力強い意思を感じるのも本作の大きな魅力だ。ほかにも、ノスタルジックな小松亮太のバンドネオンが響く楽曲や、印象的なラストシーンの鎮魂歌など聴きどころは満載。本年度邦画作品の映画音楽の中でも屈指の力作としてあげられる一枚だろう。■『COMET/コメット』
スパイク・ジョーンズ、ミシェル・ゴンドリーを彷彿とさせる注目株として話題のサム・エスメール監督作『COMET/コメット』。惹かれ合い、やがて離れていくふたりの6年間を、パラレルワールドのように描く本作は、かつての『エターナル・サンシャイン』や『(500)

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