2016年11月19日 18:00
【シネマ羅針盤】社会の分断を描く『ファンタビ』 ハリポタ新章が極上の幕開け
また、アメリカ大統領選がもたらした社会の分断が、奇しくも映画には色濃く描かれている。ニューヨークが舞台になっている分、余計にそんなことを感じさせた。「魔法使いの存在は絶対に知られてはならない」という掟のもと、騒動が発端となり、魔法使いとノー・マジ(普通の人間)が共存する世界は不穏な空気に包まれ、掟に反し「いまこそ魔法使いは表舞台に立つべきだ」と主張する魔法使いが台頭し、魔法界の内部にも亀裂が生じるのだ。
スピンオフでも、前日譚でもない。『ハリポタ』シリーズの良さはキープしつつ、新鮮な驚きと感動に満ちあふれた『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』が、決して好調ではなかった2016年の実写洋画を盛り上げる起爆剤になることを期待したい。『ハリポタ』ファンを満足させるのはもちろんだが、いわゆる原作ものではないので、劇場に足を運ぶハードルは高くないはず。オブリビエイト(忘却)できない冒険が、ここから始まる。
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』は11月23日(水・祝)より全国にて公開。
(text:Ryo Uchida)
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