【シネマモード】ベートーヴェンの名曲をカラダで表現――東京で叶った、圧巻のステージの裏側
もちろん、クラシック音楽とバレエは長きにわたり密接な関係にあります。チャイコフスキー、プロコフィエフ、ストラヴィンスキーらのバレエ音楽は有名ですが、ご存知の通り「第九」はバレエ音楽ではありません。それにバレエ界の鬼才モーリス・ベジャールが振り付け、初演にこぎつけたのは1964年のこと。以来、数回の公演しか実現せず、振り付けを行ったベジャールが死去した2007年からは、再演不可能とされてきました。それがなぜ東京で実現したかは本編を観ていただくとして、そんな大プロジェクトが実現していたとはつゆ知らず。見逃したことが悔やまれてなりません。もしあなたが同じ思いを抱いたなら、本作は年末年始の“Must-see”リストに加えるべきでしょう。
このドキュメンタリーを観ていると、この公演がどれほど難題だらけなのかがよくわかります。
一流のダンサー80人余りをベストコンディションで本番に向かわせ、さらにオーケストラ、ソロ歌手、合唱団、指揮者を加えた総勢350人及ぶアーティストの心をひとつにすることが、どれほど奇跡に近いことか。そして、それが並大抵でないと承知しながらも、実現させようとする情熱の意味もよくわかります。