くらし情報『難民の少年が演じる圧倒的リアリティ『存在のない子供たち』主人公のいま』

2019年6月20日 14:40

難民の少年が演じる圧倒的リアリティ『存在のない子供たち』主人公のいま

「撮影スタッフは人間らしく接してくれた」と、ゼインが語る心からの言葉が印象的だ。

本作では主人公ゼインを始め出演者のほとんどは、演じる役柄によく似た境遇にある演技未経験者が集められた。ゼインが家を飛び出した際に一緒に暮らし始めるエチオピア人の幼い赤ちゃんヨナス役のボルワティエフ・トレジャー・バンコレは、アフリカ系不法移民であるため住居を転々としており、本作の撮影中にも両親が逮捕されてしまうという事件が起きている。撮影スタッフの尽力により、釈放はされるも国外退去させられ、母親とトレジャーはケニア、父親はナイジェリアへ、家族はいまも離れ離れになっている。

また、劇中で自身も苦しい生活の中でありながらゼインを保護したラヒル役のヨルダノス・シフェラウは、自分の歳も分からず、幼少期は難民キャンプで過ごしていた。映画の物語と同様に撮影中に不法移民として逮捕・拘束されてしまうが、のちにラバキー監督が保証人となり釈放された。妹役のサハル役のシドラ・イザームもゼインと同じくシリア難民であり、道端でチューインガムを売って家計を助けていたという。ラバキー監督は3年間のリサーチ期間を設け、その間に自身で見聞きし体験したことを本作へ盛り込んでいる。

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