『蟹工船』高良健吾、21歳の“求道者” 分かり易からず、余計なことはせず――
演じることで増していく“恐怖”
言葉では言い表せない――。そんな心の叫びを演技という表現に託すかのように、次々と個性的なキャラクターを演じる高良さん。あえて、自らの言葉での説明を求めた。ここ数年、様々な作品に出演してきて、自身の中で感じる変化、成長は?
「一生懸命にやること、自分に出せることを全て出そうという気持ちは変わってないです。でも僕自身、観客や監督、カメラに向かって、夢や何かを与えたいと思って演じたことはなくて、ただ、目の前にいる役者さんに対して『伝われ』という気持ちで演じています。演じるごとに怖さが増えていきますよ。何も知らなかった頃は得るものしかなかったので、それは武器でもあったし、知っていくことで分からなくなったりもしますし。『何であの頃みたいな素直なことができないんだ?』という思いもあります。
役者というものが自分でもよくわかんないです」。
最後に、今後目指す俳優像について尋ねると「当たり前のことを当たり前にできる俳優」という言葉が出てきた。
「お茶を飲む、ご飯を食べる、会話をするといった、私生活で何気なくしていることが、演技の中でも当たり前にできるようになりたいですね」。