【インタビュー】『ジョーカー』ホアキン・フェニックスを駆り立てた“怒り”とは?
欲望に打ち勝てたという、ある種の満足感で、力が漲ったんだ。そういった過程のすべてが、役作りの大きな要素となったよ。
――衣装もジョーカーという人物を物語るうえで、非常に重要なエッセンスだと思います。衣装デザインを手がけるマーク・ブリッジスとは、『ザ・マスター』『インヒアレント・ヴァイス』(ともにポール・トーマス・アンダーソン監督)でもタッグを組んでいますね。
彼は史上最高のデザイナーの1人だから、僕から何かを評価するとか、そういうものを超越した存在なんだ。もちろん、仕事ぶりはすばらしいけど、そのプロセスは謎に満ちている。ディテールへのこだわりもすごいよ。ポケットの中のハンカチとかね。
そうだ、ジョーカーが着るスーツについては、秘密があるんだ。実は序盤のアーサーと、終盤のジョーカーは同じスーツを着ている。色は違うんだけど、それはマークが撮影中、段階的にスーツを染めてくれたんだ。まさにアーサーが、次第にジョーカーへと変ぼうするみたいにね。注意して見てみると、確かにだんだん赤色が鮮やかになっている。初見では見逃してしまうかもしれない繊細なこだわりだけど、キャラクターや作品全体への貢献は計り知れないよ。