2020年3月5日 17:00
『フェアウェル』家族の“嘘”が映画になるまで…ルル・ワン監督が明かす
ただ、ワン監督は中国語を流暢に話すことはできるが書くことは容易ではなく、脚本に書いたセリフの60%を中国語に変換するため自身の両親に助けを求めた、という。
「両親は大きな助けになりました。両親は中国語を知っているし、関わっている実在の人たち全員を知っている。その上、実生活の中で家族がどんな会話をしたのかもわかっていましたからね」とワン監督は言う。
「この話は映画になる」直感に突き動かされ映画化へ
こうしてワン監督の脚本が肉付けされたころ、奇跡的に「This American Life」のエピソードを聞いていた、ビッグ・ビーチ社のプロデューサー陣とデプス・オブ・フィールド社から声がかかる。ワン監督同様、両社とも「この話は映画になる」という直感に突き動かされた。こうしてすぐに製作チームが立ち上がり、映画化へと繋がっていった。
ワン監督から「A24」のチームに対して送られた手紙にも、「映画を作る過程において、広く“商業的”な作品になることに対しては断固としてNOを突きつけ、逆に、いつか自分なりのストーリーの伝え方を表現できる日が必ず来る、と信念を曲げずに突き進みました。
配給に至っては、大金を提示してきた大手の映像配信サービスのオファーを断り、有意義な方法である劇場公開で観客に映画を届けることができるのはA24がベストだと信じ、この会社に託したのです」