性的指向・性自認は流動的で人の数だけ存在する――多様な価値観を提示する「17.3 about a sex」は気づきや学びの宝庫
ちなみに、19世紀ヴィクトリア朝の英国でバイブレーターを最初に発明した医師の背景は、2011年の映画『ヒステリア』でコメディタッチに描かれているので、興味のある方は合わせてぜひ。
そして、この件でグッと距離が縮まった咲良と悠。1話での初登場から、どことなくミステリアスな雰囲気をまとっていた悠は、咲良への好意に気づいたことで、男性も女性も恋愛対象になる「バイセクシャル」であると自覚する。一方、彼は“別の世界の人”という心のボーダーを引き始めてしまう咲良。5話「人を好きになることに、性別って関係ある?」ではそんな中、SNSで悠がゲイであるという投稿がされ学校内が騒然となる。他人の性的指向などを本人の了承を得ずに公開する“アウティング”だ。
城山先生は、アウティングはその人の人生を変えてしまう危険なことと咲良たちに伝える。ときには、最悪の選択をする場合もあることも。
それほど誰かを追い詰めることになる、その人の“人権”やいのちに関わる重要なことなのだ。アウティングの残酷さについては、2018年の青春映画『Love,サイモン 17歳の告白』でもつぶさに描かれる。多くの人に観てもらいたいという思いから、サイモンの母親役を演じたジェニファー・ガーナーやゲイをカミングアウトしているマット・ボマーらが映画館を貸し切って無料上映会を行ったほどの必見作だ。