あなたが愛を見つける日は?vol.2 『ジェイン・オースティン 秘密の恋』
つまり、心を偽らなかったがゆえに、ありのままの自分であり続けることに誇りを持っていたがゆえに出会った恋です。心を偽れば、資産家との結婚、そして願ってもない豊かな人生が待っているはずでした。実際、一度は彼女のこの結婚に承諾しています。そんな事実からすると、トムとの恋が、経済的に豊かな結婚生活を犠牲にして、生涯一人を貫くことの引き金になったのかもしれませんが、一生を捧げるに値するものだったということなのでしょう。
結果的に、ジェインは後世に“お堅いオールドミス”という、ありがたくないイメージを残してしまいましたが、人知れずでも確かにいきいきとした人生があったのなら、人がどう思おうと関係ないのかもしれません。すべては自分の心次第。その信念の強さは、彼女の作品に表れていますよね。
幸せそうと思われていても、激しい恋など一度も経験したことがないのと、寂しい人生だと思われても、実は豊かな実りがありそれを大切にしているのと、どちらがいいのか。
好みの問題でしょうか。
さて、『ジェイン・オースティン秘密の恋』についていろいろ語ってみましたが、証拠を検証したとはいえ、本人がいない今となっては、本当のところどうだったのか分かりません。