くらし情報『あの時代や地域が生んだ映画文化、ミニシアター全盛期に思いを馳せる』

あの時代や地域が生んだ映画文化、ミニシアター全盛期に思いを馳せる

クエンティン・タランティーノの映画を観た時、自分たちの世代のための監督がようやく出てきたと思ったのだ。「私たちの」劇場であるシネマライズで、「私たちの」映画監督であるタランティーノの映画を観た。ひとつの時代に立ち会っているだけではなく、その時代を生きている。シネマライズで『レザボア・ドッグス』を、そして『トレインスポッティング』(1996)を観て、そんな臨場感を覚えた観客は少なくないだろう。この瞬間に、この場所で観ているからこそ、意味がある。そう感じさせてくれた映画体験だった。

90年代、ミニシアターで観て、もう一度観たい映画の中には、DVD化もされていなければ、配信でも観られない作品がある。シネマライズで観た中では『ミナ』(1993)がそうだ。
ロマーヌ・ボーランジェとエルザ・ジルベルスタイン主演の青春映画で、60年代から70年代を舞台に2人の少女が大人になって、すれ違うまでを描いたこの作品が好きだった人は多いはず。ベンチに並んで腰かけているメガネをかけたミナ(ボーランジェ)とベルボトムのジーンズのエテル(ジルベルスタイン)の姿が忘れられない。

『ゴーストワールド』(2001)のソーラ・バーチとスカーレット・ヨハンソンが出て来る前、世を拗ねた少女たちが最も感情移入できる2人組といえば、この不器用なフランスの少女たちだったのではないだろうか。

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