あの時代や地域が生んだ映画文化、ミニシアター全盛期に思いを馳せる
少なくとも、自分にとってはそうだった。この映画を、私は中学時代の親友と2人で観に行った。
もう1本は、シネセゾン渋谷で観たパスカル・フェラン監督の『a.b.c.の可能性』(1998)だ。二十代半ばの10人の男女の将来への期待や不安、上手くいかない恋愛や人間関係を描いた群衆劇で、臨場感があってチャーミングだった。劇場で観たことを後から自慢したくなるのは、名作や大ヒット映画よりも、実はこんな映画だ。
「渋谷系」と渋谷でかかるミニシアター映画が分かち難く結びついていた時代で、『ミナ』のパンフレットに「ラヴ・タンバリンズ」のエリとカヒミ・カリィの親友対談が掲載されていたり、「ニール&イライザ」が『a.b.c.の可能性』とのタイアップでシングルを出していたことも(やや苦笑してしまうが)懐かしい。
(text:山崎まどか)
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