くらし情報『繰り返し観たい、勇気を纏うファッションドキュメンタリー』

繰り返し観たい、勇気を纏うファッションドキュメンタリー

必然性のない提案にNOを出し、5万ドルかけた撮り下ろしも容赦なくボツにする。マリオ・テスティーノやオスカー・デ・ラ・レンタのような大物にすら忖度なし。即断即決の彼女が思い悩む姿を見ていると、「躓いたって立ち上がればいい」という気になるのだ。

デザイナーを追った作品には、アナの作品同様にお仕事映画的側面が感じられるものも多く、そのプロフェッショナリズムに心が震える。『ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス』では、パンクと優雅さを融合させたファッションで、無一文から世界を手中にしたヴィヴィアンの人生が紹介されている。デザイナー、実業家、母親、妻、環境&人権保護活動家としてのボーダーレスな活躍、エネルギー溢れるプライベートライフには目を見張る。

『ディオールと私』では、オートクチュール未経験のラフ・シモンズが、パリのメゾンでベテランのお針子たちと1枚の布に魂を注ぎ込もうと奮闘する姿に胸が熱くなった。

もちろん、コレクション完成が終点ではない。
発表後、デザイナーたちを待ち受けるのは賞賛か酷評か。『マックイーンモードの反逆児』では、ある人物がこの業界にいると心のバランスを崩すと言っていた。

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