2021年5月4日 17:00
『クルエラ』を“表現する”70年代ロンドンのパンクファッション
見ているだけでも楽しくなるが、本作においてこのファッショナブルな衣装はただのクルエラの“洋服”ではない。本作の舞台、70年代ロンドンは、「セックス・ピストルズ」「ストラングラーズ」「クラッシュ」を始めとするパンクロックや、そのパンクロックを体現した「ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)」をはじめとしたブランドが確立され、“怒り”や“自由”を世の中に叫ぶ手段として、現代に至るまで長く愛される新たなカルチャーが生まれた。
無数のスタッズが散りばめられた革のジャケットや、ビリビリに引き裂かれたジーンズに逆立てた髪、攻撃的な歌詞と耳を突き刺すサウンドを奏でたパンクロックなど、“普通”の概念を正面からぶち壊す、新鮮かつ奇抜な文化は、ただお洒落のために生まれたものではなく、“自由”や“反骨精神”を表明するために、いわば自己表現の武器として愛されたものなのだ。
クルエラが着こなすファッションも、彼女のキャラクターを表現するために絶対に欠かせないもの。エステラという皮を破いて“本当の自分”をさらけ出すために、その斬新な発想力と才気あふれる創造力を頼りに、ファッションという“武器”を駆使することで、彼女はクルエラへの階段を駆け上がっていく。