【シネマモード】恋する女心を解く鍵は衣裳にあり? 『サヨナライツカ』を彩るのは…
男性の目を常に意識し、自分の魅力を惜しみなく披露する。
そんな彼女のセクシーな魅力を表現するため、衣裳は全体の90%がオーダーメイドだったといいます。物語がスタートした時代は1970年代ですから、露出と言っても現代のように過度な肌見せではなく、そのスタイルはあくまでもクラシカルにする必要が。しかも、沓子はザ・オリエンタルバンコクのサマーセットモームスイートの住人。安っぽくならないよう、常に素材や質感、シルエットのどこかにゴージャス感を漂わせる必要があったといいます。しかも、豊を挑発するとき、豊を本気で好きになったとき、関係が進んだとき、やさぐれているとき…と、豊との関係性が変わっていくに連れて、身につけるものの露出度、素材感、色味などが変化していくのですから、既成のものを用意するのは難しいはず。そこで監督は、中山美穂のために、実に200枚以上のスケッチを用意し、採用したデザインの服を特別に仕立てることにこだわったそう。例えば、挑発用にはゆったりシルエットの花柄ワンピースながらスケスケ、真剣な恋には少し清楚感も漂うコットンの上下で露出も少なく、やさぐれているときは夜の女風の派手な色の光ものドレスや濃厚メイク、関係が進んだときは露出がありながらも白いレース使いで花嫁を意識したワンピースをといった具合。