中国市場の締め付けとシリーズ作品以外の危機 「パンデミック&配信シフト」以降も激震が続く映画界
実は12月に『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が世界公開(同作は2022年に中国でも公開される見込みだという)されるまで、9億200万ドル(約1040億円)を稼ぎ出して2021年の世界興収でトップに立っていた作品は、朝鮮戦争初期に中国人民志願軍(PVA)が米国率いる国連軍に勝利した「長津湖の戦い」を描いた国威発揚映画の『長津湖』。それに次ぐ8億2200万ドル(約945億円)の興収をあげた作品も中国のコメディ作品『こんにちは、私のお母さん』。日本を含む世界中で大ヒットした『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、その2本の中国映画の後塵を排してようやく第3位につけているという状況だった。21世紀に入ってから、ハリウッドはそんな膨大な中国マーケットを開拓すべく大作の企画を開発し、中国資本の参入も受け入れてきたわけだが、米中間の政治問題や経済問題の影響も受けて、今後その流れは大きく変わっていくだろう。
そして、年の最後に触れないわけにはいかないのが、前述した『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の歴代ナンバーワン作品『アベンジャーズ/エンドゲーム』に肉薄するオープニング3日間だけで世界興収5億8720万ドル(約670億円)