“扉の向こう”の世界を築いた2人の匠――『コララインとボタンの魔女』インタビュー
2人のイマジネーションが融合し出来上がった、コララインから見た現実と“隣の芝生は青い”世界。実際のセットでは、巨大なスタジオに2つのセットが作られ、それぞれの世界が表現された。彼らの頭の中ではどのようなイメージが築かれていたのか?
「撮影ではセット自体の奥行きや、閉塞感・開放感というのを変えていきました。現実のキッチンは全部が圧縮されていて息が詰まる感じのセットに対し、もう一つの世界は奥行きがあって色もあるんですが、カメラのレンズも変えて、コララインが足を踏み入れたときに開放感を感じる場所にしたわけです」(セリック監督)
「僕は、退屈な“日常”というのが大切だと思ったんですね。アメリカの映画をたくさん観て、アメリカの日常というのを想像しながらこちらの世界を描きました。もう一つの世界では、逆にアメリカ人の方が見たときに“非西洋的”と感じたらおもしろいのではないかと思い、クモの魔女が登場するので、(フランク・ロイド・ライトが設計した)旧帝国ホテルのような、クモの巣みたいな意匠を取り入れて、現実よりも有機的な世界を出せればと。あと、人形という点では文楽のがぶ(髪の中から二本角を出す女形の頭)